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動く彫刻:鎌田治朗、王思涵
フランスの現象学者モーリス・メルロ=ポンティは、身体は世界を観測するための単なる道具ではなく、私たちが世界を経験するためのあり方そのものであると述べました。知覚が常に身体を介して起こるものであるならば、彫刻もまた人とモノが出会うその瞬間にこそ、真の存在を現すのではないでしょうか。
展覧会『動く彫刻(Sculpture in Mode)』は、人の参画によってアートがいかに生成されるかに着目します。日本のジュエリーの家系に生まれた鎌田治朗(Jiro Kamata)は、「希少な宝石が価値を決める」という既存のロジックを再考し、光学素材を用いた独自のジュエリー表現を切り拓きました。一方、人工素材産業を営む家庭で育った王思涵(Grace Wong)は、天然皮革がもつ生命力に目を向け、レザーのしなやかさと強靭さを創作のエネルギーへと昇華させています。両アーティストはともに自らの生い立ちや背景から素材を問い直し、手でつくる行為(Making)を世界を理解するための言語として用いています。

本展は、「素材と手法」「形態と意図」「身体と物件(オブジェクト)」「革新とサステナビリティ」という4つの軸に沿って展開し、応用美術(Applied Art)の現代的な価値を再考します。モノの価値が珍しい素材や精巧な技術、実用的な機能だけで測られなくなったとき、そのかけがえのない価値は、いかにして人の身体的経験や感情の記憶、そして眼差し(観照のあり方)を受け止めるかの中にこそ存在するのかもしれません。応用美術の価値は、物質そのものから人間的な体験の領域へと向かっています。

動く彫刻 Sculpture in Mode
会場|Grace Han 台北アートコンセプトストア(Grace Han Taipei Maison of Art)
会期|2026.10.18 (日) – 2027.01.17 (日)
キュレーター|邵雅曼(ヤーマン・シャオ)
コ・キュレーター|王菱檥(ノーラ・ワン)
アーティスト|鎌田治朗、王思涵
キュレトリアル・チーム|ALIEN MODE
アカデミック・パートナー|ALIEN Art Centre(金馬賓館現代美術館)
ご鑑賞方法|公式LINEより要予約
